サーキュラーエコノミーの最前線で学ぶ持続可能な建築
01
企業や組織を超えた研修
今回のドイツ研修では、シュトゥットガルト、デュッセルドルフ、ベルリンの3都市を訪問し、最新のサーキュラーエコノミーの事例や革新的な技術を学び、それを参加企業の持続可能な経営や事業戦略に活かすことを目的であった。本研修は、企業や組織を超えた合同研修であり、業界の枠を越えて知見を共有する貴重な機会となった。現地企業とのワークショップでは、各企業の取り組みを学ぶとともに、持続可能な建築の実現に向けた課題についても活発な議論が交わされた。
02
未来を体験できる研修施設
2.1
OWP12
シュトゥットガルト
OWP12は、Drees & Sommer社の新本社ビルであり、サーキュラーエコノミーとプラスエネルギーハウスの理念に基づいて設計されています。建物は、高断熱ファサードや、屋根とファサードに設置された太陽光発電システム、地熱エネルギーシステムを活用することで、プラスエネルギー建築を実現している。プレファブリケーションによるモジュールシステムを活用し、短い工期と資源の節約を両立させている。さらに、設備にもモジュールシステムを導入することで、建設プロセスの効率化と解体の容易さを実現している。OWP12では、Cradle to Cradle®の原則を取り入れ、建材の循環性と無害性を重視している。将来の解体や再利用を見据えた設計が施されており、すべての建材はマテリアルパスポートに登録されている。
2.2
The Cradle
デュッセルドルフ
The Cradleは、その名の通り、Cradle to Cradle®の理念を具現化した建物です。建物名が示す「ゆりかご」のように、使用された材料が再び新たな資源として再利用されることを目指した建物である。2階以上は木造で、環境負荷の低減に配慮し、解体可能な建材や工法が採用されており、将来的なリサイクルや再利用が容易になるよう設計されている。使用されるすべての材料はデジタル・マテリアルパスポートに登録され、材料の種類、寿命、設置場所が記録されている。特に注目すべき点は、解体された木材などが建材メーカーによって将来買い取られる契約が結ばれており、サーキュラーエコノミーを実現する仕組みがすでに導入されていることである。
2.3
CRCLR HAUS
ベルリン
CRCLR HAUSは、建材のリユース(再利用)を重視したプロジェクトである。歴史的なファサードを保存しながら、木造の上層階を増築した。特筆すべき点は、他のプロジェクトで不要となった窓や鉄骨、配管などを可能な限り再利用していることである。事業主であるConcular社は、解体現場と新築現場をデジタルで直接つなぐ取り組みを行い、再利用建材をジャスト・イン・タイムで調達することで建設廃棄物の削減を目指している。このような取り組みは、サーキュラーエコノミー実現に向けたモデルケースとなっている。
03
ワークショップで得られた知見は何か?
今回のドイツでの研修では、多くの企業とワークショップが実施され、サーキュラーエコノミーやサーキュラー建築の普及に向けた課題、また法規制の動向について議論が行われた。主催者である私からは、ドイツにおける木造パネル工法についても解説した。さらに、マテリアルパスポートのようなデジタルプラットフォームが、リサイクルや再利用率の向上に不可欠であることが重要な知見として共有された。また、解体現場と新築現場を結びつけ、資材の無駄を最小限に抑えるためのプラットフォームなど、日本ではまだ導入されていない最新の事例も紹介された。
04
参加者の声
BIMを活用し、サーキュラーエコノミーに徹底的に取り組む姿勢や仕組みが構築されていることに大きな気づきを得ました。研修中にメンバー間で確認し合う機会があったことも非常に助かりました。訪問した施設も、サーキュラーエコノミーの取り組みがしっかりと実感でき、とても有意義な研修でした。
BIMの効果的な活用を通じて、サーキュラーエコノミーの仕組みを構築していることに感銘を受けました。また、参加者の要望にも柔軟に対応していただき、大変有意義な時間を過ごすことができました。訪問した企業からも豊富な情報を提供いただき、ドイツ企業のサーキュラーエコノミーに対する姿勢を感じることができました。
実際にサーキュラーエコノミーを実践している企業や建築を見学し、具体的な指針を得られたと感じています。ぜひ他のメンバー、特に若手にもこの経験を共有したいと思います。今後、自社や業界で何ができるのかを考える際、またご相談できれば幸いです。研修で得た知見を共有できたので、その後の進展についても情報交換できればと思っています。
05
サーキュラーエコノミーの実践に向けて
今回の視察で得られた知見は、日本におけるサーキュラーエコノミーの実践に活かされる予定である。特に、プラスエネルギーハウスの技術やモジュール式設計の導入を検討し、持続可能な建築の実現を目指す。また、再利用建材の流通プロセスの改善を通じて、建設業界全体のサステナビリティ向上に貢献することが期待されている。
06
次回の研修のご案内
次回の研修は2025年6月に予定されており、ドイツ・ベルリンの最新のゼロエネルギービルディング(ZEB)の事例を学ぶことを目的としている。参加者を募集しており、持続可能な建築に関する知識を深め、業界の最前線での知見を共有する機会を提供する。