概要
BIKINI Berlinは、ビキニハウスを含む戦後モダニズムの象徴的な建築群の改修プロジェクトである。建物の老朽化に伴い、商業施設、オフィス、ホテル、映画館で構成される複合施設へと改修された。ビキニハウスは1955年から1957年にかけて、建築家パウル・シュヴェースとハンス・ショッツベルガーの計画により、45の高級な婦人服ショップが入る商業ビル兼生産所として建設された。当時の建物の中央階に吹き抜けがあり、ビキニのように建物を二分していることからこの名前がついた。
一般的な保存建築の改修プロジェクトでは、個別の建物の復元や改修を行うのが一般的だが、Bikini Berlinではインフラを含めた複合的な改修を行う事で、周辺環境との新たな関係性を生み出している。
特徴
Budapester通りに位置するビキニハウスは、既存建物の長い建物形状が維持された状態で、ショッピングモールとして利用されている。建物の後方には、屋上緑化された二階建ての新築の建物、東側にはホテルに改修された建物が位置し、いずれもビキニハウスと接続している。建物西側には大階段が設置され、隣にある動物園を一望できるルーフテラスまで続いている。
改修工事の際は、既存の構造体はそのまま残し、外壁や内装、設備などの改修が行われている。外観は、オリジナルの鉄とガラスで構成されたデザインと色彩を継承しつつ、現代の断熱基準に従って再建されている。さらに、外装の一部には既存のガラス粒子を砕いたものを外装材に混ぜて利用され、工夫が凝らされている。このガラス粒子を用いたアイディアは、建物の内部の壁や床にも利用されている。
建物内部は、広々としたショッピング・モールが自然光を取り込み、新設された鉄骨フレームと既存のコンクリート構造体の対比が印象的である。内装の配色は、隣接する動物園の樹木の緑を基調にしている。
環境配慮とサスティナビリティ
ビキニハウスとホテル棟は、今日のエネルギー基準に沿って、オリジナルに忠実に再建されたことや、既存のインフラとの良好な空間統合、屋上緑化、既存建築物の構造体の再利用などが評価され、LEEDゴールドを獲得している。
既存建築のデザインを踏襲しながら、今日の断熱要件を満たすためには、特に、各階のスラブに凹凸(バルコニーやロッジア)が多い南側ファサードにおいて、コンクリートの熱橋を最小限に抑える必要があった。この課題に対して、スラブを断熱材で覆う方法で対応し、スラブ上部には6cmの多泡質ガラス断熱材、下部には厚さ6cmのケイ酸カルシウム製の断熱材が使用された。どちらの素材も熱伝導率は0.045W/mKである。1階の既存のリブ天井には、列柱部分の下側に厚さ10cmのグラスウールの断熱層が施された。 新築の建物の外壁用断熱材には、発泡ポリスチレン(EPS)が使用され、既存外壁の断熱材には、ロックウールからなる不燃性のファサード断熱パネルが使用されている。アルミ製フレームの窓にはトリプルガラスが取り付けられている。 屋根はアルミニウムで覆われ、断熱材は厚さ10cmの耐衝撃性ロックウール・パネルと厚さ6cmのロックウール・マットから成る、2層断熱システムが施されている。